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2005年10月02日

尖圭コンジローマ

解 説

・性器へのヒトパピローマウイルス(HPV)感染症で、大部分が性交あるいはその類似行為で、一定の潜伏期をおいて発症する。
良性型HPV の6、11 型の感染による。
・HPV は接触により、皮膚や粘膜の微小な傷から侵入し、基底細胞を含む、分裂可能な細胞に感染する。
感染後視診で観察できるまでに3 週~ 8 ヶ月(平均2,8 ヶ月)を要するので、感染機会を特定できないことも多い。
・陰部から陰部への感染がほとんどで、湿った外陰部や肛門周辺に繁殖し
、潜伏期間が長く、通常2、3 ヶ月で症状が出るが、6 ヶ月という場合もある。
・尖圭コンジローマと癌の原因となるHPV には相違があり、発癌と関連の深い型のHPV は悪性型と呼ばれる。
・尖圭コンジローマはHPV6 型、11 型の感染によるが、ときに皮膚型のHPV による疣贅が外陰部にみられることがある。この他に主としてHPV16 型の感染によるボーエン様丘疹症、性器ボーエン病がある。
・HPV は、現在90 種類以上の遺伝子型に分類されており、その中で性器病変、あるいは性器から検出される型は40 種類以上に及ぶ。この中で子宮頸癌の高リスク型としてはHPV16、18、31、33、35、39、
45、51、52、56、58、59、68、73、82 型が、中間リスク型としてHPV26、53、66 型があり、
低リスク型にはHPV6、11、40、42、43、44、54、61、70、72、81、89 型がある。
・妊婦がヒトパピローマウイルスに感染すると、少数例であるが母子感染をきたす事もある(1%以下)。
ほとんど良性だが、近年子宮頸癌、陰唇癌などの関連性があるといわれている。
・性感染症であるために大部分は性活動が盛んな生殖年齢に多くみられる。しかし、最近では初交年齢の低下に伴い、10 代後半の女性にも認められるようになったという報告もある。
尖圭コンジローマ自体は良性腫瘍であり自然治癒することもあるが、HPV16、18、52、58 型は子宮頸部に感染し子宮頸癌の発癌の要因になると考えられている。


症 状

・HPV 感染後約3 ヶ月程で、自覚症状として、先の尖った硬い腫瘍(いぼ)が、男性では、陰茎の亀頭、
冠状溝、包皮、陰裏、女性では大小陰唇、膣前庭、膣、子宮頸部に発生。また、男女とも肛門周囲、肛門内や尿道口にも好発し、さらに直腸内に発生することがある。まれにHPV が外尿道口から逆行性に感染して、尿道や膀胱内に尖圭コンジローマが発生することがある。
一般的に自覚症状がなく、ほとんどがいぼを認めるのみであるが、大きさや発生部位などにより、疼痛や掻痒、性交時の痛みや出血が出現することがある。
・接触により出血しやすく、2 次感染を伴うとただれ、壊死を起こし悪臭を放つことがある。
・下着やジーンズのような硬い着衣で擦れて痛みを感じることもある。
・肛門内の尖圭コンジローマは、同性愛者の肛門性交によることが多い。
・形態は鶏冠状、丘疹状(表面顆粒状)などと多彩で、色は角化の程度により淡紅色、褐色と様々である。
大きさは米粒大から母指頭大まで多様な先のとがったザラザラしたいぼ状で、かゆく感じるものから、
ヒリヒリした痛みを感じる程度まであり、数は単発のこともあるが、多くは多発して全体が腫れあがり、
カリフラワー状になる。


臨 床 的 特 徴

・HPV 型は疾患または感染部位により皮膚型、疣贅状表皮発育異常症(EV 症)型、性器・粘膜型に3 分類できる。皮膚型は尋常性疣贅、扁平疣贅など皮膚に発生する疣贅疾患の原因となり、EV 症型は皮膚に疣贅が多発し、それらのうち、日光に曝露する頂部や頭部の疣贅が癌化するという特殊な遺伝性疾患から、もっぱら分離される。性器・粘膜型は、性感染症の原因HPV で、尖圭コンジローマを起こすHPV6、11 型もその中に含まれる。
・性的接触などにより皮膚・粘膜の微細な創面から侵入したHPV は、表皮の基底細胞に感染し、自己複製を始めるとともに、HPV の初期遺伝子産物が感染細胞に働き、増殖を促す。その結果、感染部位に尖圭コンジローマなどの疣贅病変(隆起性病変)や異形成上皮(非隆起性病変)を形成する。ウイルス抗原や粒子はそれら上皮の上層部にのみ認められるため、ウイルス粒子の生成は上皮の分化機構に依存するものと考えられる。
・統計では子宮頸部異形成のうち10 ~ 20%が進行し、残りは消失する。進行するのはHPV16、18、31
型などだと考えられている。自覚症状に乏しいことが多いため、無意識のうちにHPV を広めてしまう可能性がある。

診 断

・尖圭コンジローマの診断には、原因ウイルスであるHPV を証明することが望ましい。しかし、HPV の
ウイルスの分離と培養が不可能であるため、HPV の検出には、そのウイルスのDNA を決定する方法が行われている。


再 発 率

・尖圭コンジローマはウイルス性疾患なので、治療後の再発が問題となる。
・電気焼灼の施行例では18.3%、その再発までの期間は平均3 ヶ月である。
再発の理由は、治療後、肉眼的に尖圭コンジローマの病変を認めなくても、深く上皮にHPV が存続することがあるからである。また、病変部位周囲の正常組織にもHPV が存在し、ある期間を経てその部位から尖圭コンジローマを形成することも考えられる。


悪 性 化

・尖圭コンジローマが長い潜伏期間を経て性器癌に悪性化することもある。陰茎癌は子宮頸癌とともにHPVとの関連性が示唆されている。
・HPV は健常人の性器に数%の割合で、潜伏感染しており、特に性活動の盛んな若い年齢層に広く蔓延している。HPV が無意識のうちに性的パートナーに感染し、その一部からは尖圭コンジローマ、さらに性器癌が発生してくるとすれば、HPV は初期の段階から重要な役割を担っていると思われる。


予 防

・性交の時にコンドームを使用することにつきる。
・感染していない性的パートナーへ感染する危険性があるので、パートナーの検査も必要である。

投稿者 farplane : 2005年10月02日 12:14