2005年10月01日
梅毒
| 解 説 |
・梅毒トレポネーマ・パリダム(TP)という病原体によって起こり、主として性行為(キスも含む)などで
感染します。
・顕性梅毒(皮膚や粘膜症状がある)と潜伏梅毒(症状なし)が大半である。
・TP によって、主に陰部から陰部へ移って感染する。稀に口から口へ感染することもあり、乳首、輸血からの感染例もある。
・稀に衣類や食器、カミソリなどから感染することもある。
・皮膚や粘膜の小さい傷から感染し、やがて内臓・心血管系・骨・中枢神経など、全身の器官が侵される病気である。
・温度や湿度の変化に弱く、死滅することが多く、殺菌剤でも簡単に死滅する。
| 梅 毒 の 一 般 的 経 過 |
(A)顕症梅毒
梅毒の病原体TP が感染して9 週までを第1 期梅毒、9 週より3 年までを第2 期梅毒、感染後3 年以上を第3 期梅毒という。感染後10 ~ 15 年経つと脳と脊髄に変化をきたし、変性梅毒または第4 期梅毒と呼ぶ。
潜伏期:3 ~ 6 週間


(B)無症候梅毒
・臨床症状は認められないが、梅毒血清反応が陽性のものをいう。
・TPHA 法またはFTA-ABS 法によって、生物学的偽陽性(BFP)を除外する必要がある。
BFP は、膠原病、リウマチ熱、妊娠などで見られる。
・初感染後、全く症状を呈さない場合や、第1 期から2 期への移行期、第2 期の発疹消退期や陳旧性梅毒などの場合がある。陳旧性梅毒の中には、治療を要しないものも数多くある。
(C)HIV 感染に併発した梅毒
・細胞性免疫不全によるトレポネーマへの宿主の防御機能低下のため、潜伏期間が短縮する。
・病期が異常に早く進行するため、第1 期から3 期まで通常3 年かかるのが、エイズ患者では数ヵ月で
経過し、神経梅毒へ速やかに進展していくこともある。
・梅毒血清反応の定量値が異常な高値や低値を示したり、激しく変動することがある。
・梅毒血清反応が陽性を呈しない場合もあり、特に血液製剤によるエイズ感染者は、ほとんど陰性である。
・病巣は重篤化し、水疱、膿疱、深い潰瘍が広範囲に発生し、治療に抵抗する。
| 主 な 初 期 症 状 |
《女性》
・性的接触2 ~ 3 週間で陰部(大小陰唇や膣の内側)に汚い分泌物をかぶった固いしこりが発生する。
痛みはない。
・続いて鼠径リンパ節が腫れるが、痛みはなく、放置すれば自然に消える。
《男性》
・しこりは包皮や陰茎などに発生し、その後、表面が破れて、びらんや潰瘍になる。太もものリンパ節が腫れ、
梅毒性リンパ節炎になるが痛みはない。
・しこりは放置しておくと治ってしまうので、気にしない人がいるが、放置すると第2 期梅毒に進行して
しまい、治りにくくなるので注意する必要がある。
・2 ~ 3 ヵ月後には、全身に発疹などの皮膚症状や外陰部などに小豆大のできものが現れる。
潜伏期と症状がでる時期を繰り返し進行する病気。潜伏期間が長いため、知らないうちに多くの人に
うつしてしまう可能性がある。
| 血 採 (検査) |
① クイックテスト:15 分で結果がわかる
・梅毒に対する抗体(免疫の有無)を検査。感染機会から6週以上経過していれば検出可能。
②TPHA+RPR 定量: 2日以内で結果がわかる
・梅毒に対する抗体価を数値として検出
・現在感染中か、過去に感染したことがあるかを鑑別することもできる。
・治療の効果の判定にも使用します。
| 抗 生 剤 に よ り 治 療 |
① アモキシシリン
② ミノマイシン
③ エリスロマイシン
4 週間以上内服
※治療開始後、数時間~数日以内に発熱、悪寒、筋肉痛、頭痛、リンパ節の腫大などが出現することがある(Jarish-Herxheime 反応)。が、急激なTP の死滅が原因であり、安静で軽快するため、梅毒の治療はそのまま続ける。
この時期の発熱や疼痛に対しては、内服等で軽減させていきます。
| 治療、治療効果の指標としてRPR、TPHA定量 |
・梅毒の治療効果はSTS 法の抗体価とよく相関するので、病期に応じた十分な治療を行った後は、
臨床症状の持続や再発がないこと、STS 法を定期的に追跡して、定量値が低下することを確認する。
・治療後6 ヵ月経過しても16 倍以上を示す時は、治療が不十分であるか、再感染であると考えられるので、再治療を行う。このような例はHIV 感染に併発した梅毒の場合に認められることが多いので、
HIV 抗体価の検査も行う必要がある。
| パ ー ト ナ ー の 追 跡 |
・第1、2 期顕症梅毒または感染後1 年以内の無症候梅毒と診断された患者と90 日以内に性的交渉があった場合には、パートナーの梅毒血清反応も行うべきである。
陰性の場合でも経過を観察するべきである。
| 最 後 に |
・十分な治療後も抗体価の低下に時間がかかるので、抗体が完全に低下するまでは、定期的な診察や検査を続けることが、再発や再感染を防ぐために必要である。
・梅毒患者は、HIV に感染しやすいのと同時に、HIV 感染者には梅毒が多く認められるので、すべての梅毒患者はHIV 抗体の検査を行うのが望ましい。
投稿者 farplane : 2005年10月01日 15:36